2016年5月16日月曜日

感想・書評:遠藤周作『沈黙』ネタバレ注意・クリスチャン小説家による迫真の宣教師物語(レビュー)。 #読書

遠藤周作『沈黙』:クリスチャン小説家による迫真の宣教師物語

日本人クリスチャン小説家として名高い遠藤周作の代表作。江戸時代初期、苛烈なキリシタン弾圧が行われていた時代に密入国したカトリック宣教師の物語です。
この物語は言ってみれば宣教師が弾圧によって棄教するまでを描いた話なのですが、主人公の行動は隠れているか、逃げているか、捕まっているかの3パターンしかありません。
にも関わらず、淡々と進む隠れキリシタンの処刑や同僚の死、追っ手からの逃亡、裏切りといったシーンを重厚な筆遣いで描いています。
最も興味深いのは、キリスト教が最終的に日本に根付かなかったことに対する長崎奉行と主人公、そして棄教した主人公の師の遣り取りです。ヨーロッパのキリスト教徒が信仰と呼ぶものは、ついに日本の文化の中で見つけることは出来なかった、と主人公は言われます。それが本当なのかどうかは、物語の中で明らかになることはないです。それよりも大事な事態が、主人公に襲い掛かるからです。
許されざることを、キリストは許すのか。それは信仰に背くのか否か。
この小説を読む前に、同じ作者による紀行文『切支丹の里』を読むことをお勧めします。『沈黙』の構想ノートであり、どういう動機から長崎の隠れキリシタン、そして棄教した人々を描こうと思ったのかが分かります。

ありがとう寄稿。

☆今日のブログ飯(5月病)
今年のゴールデンウィークも例年通り特に予定は無く、家で在宅ワークをしているか平日なら学校に行くぐらいでした。
どうでもいい先生の雑談が面白かったです・2016年ゴールデンウィーク日記・例年通り特に予定は無く、家で在宅ワークをしているか平日なら学校に行くぐらいでした。 - ナカノちゃんねる

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